会える気がして
都心に近いJRのとある駅。駅前のちょっとした広場。石畳。
かなり昔のこと、ここで来るあてのない人を待っていたことがあっ
たっけ。
私は大学生、相手は予備校生。この間まで同級生。
滑り止め一校にかろうじてひっかかるという形で
首尾よく大学生になれた自分がなぜか許せない気がしていた。
卒業式直後に告白めいたことしているのに、こっちだけが遊べる状
況、っていうのもなんかずるい気がしていて。
そして自分の行った大学はやはり志望校ではなくて。
もうめちゃくちゃだった。
かなり日差しが強くなっていた6月の土曜日、本当に待ち合わせを
しているかのように駅前に立っていた。
その駅近くに彼の予備校があるという理由だけで。
何時に帰るかもそこを通るかどうかもわからないのに。
40分くらいそこにいたら、なぜか本当に予期しない方向から待ち
人は現れた。待っててくれたんだ、なんて言って。
狐につままれているみたいだった。
彼の家の方向に遠回りして一緒に帰った。予備校や大学の話はなし。
ひたすら音楽の話だけして。
彼の降りる駅よりもっと先に行く私が次の各駅停車を待っているのに
つきあってくれたのが嬉しかった。
その後大学に行きつつ模擬試験を受け続けた私は、次の冬、別の大
学にまたひとつだけ合格した。
親を拝み倒して大学を移らせてもらった。専攻も通った大学で得た
経験を踏まえて少し変えた。
彼は3つ合格してなぜか私と同じ大学に決めた。
クラス分け発表の日に大学の門の前でまた偶然会って
お茶飲んでまたひたすら音楽の話だけしてバイバイした。
それだけ。なんだったんだろう、あの偶然は。
その後の発展ありそうと期待だけさせて何も起こらなかった。
結局何もしてないと何も起こらないのだ、そんなこと今ならわかるけど。
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今、次に演奏する曲を考え中でユーミンとかよく聞いているせいで
すっかり影響されております。
同じ駅で飲み会の待ち合わせしてたら急に思い出しました。
これは事実と脚色が混ざってます。その比率は内緒♪
たまにはこういう文章もいいかな。
ときどきこの駅で会えたらいいなと人影に姿を探すようなことをし
てしまいます。…違う人ですよ。
その頃のように時間があったら40分くらい待てるのですが
今はせいぜい自分の電車が来るまでかな。
でも必ず逆方向の電車を見送ってから自分の電車に乗ります。
Inspired by 「雨のステイション」荒井由実
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